信念の自転車人 

「自転車人」を買いました。筒井さんが表紙に写ってる! 愛車と一緒の筒井さんの笑顔が、冬の日溜りのようにあったかい・・・見ているこちらの口元が思わず緩んでしまいそうです。

記事「BICYCLE IN MY LIFE」の内容は過去のインタビュー記事で読んだものも多いですが、気になったのは自転車好きの監督に撮ってもらいたいという映画の話です。その話が現実になったら本当に嬉しいのですが、「規模が大きくなると制約が多くなるから」と「ちいちゃな小屋で単館」というあたりから、筒井さんの仕事に対する姿勢が垣間見えます。

自分がやりたいと思える良い仕事を選んで行いたい・・・以前も雑誌のインタビューで、「準備期間をちゃんとおいて、ちょっとのシーンでもいいからすごくいい作品に年に1本でられたら・・・」と語っていました。「信念の人」といった感じです。

こういった考え方の方なので、たくさんの仕事を次々とこなすようなことは基本的に合わないのでしょうね。ガツガツしない草食系、それも限られた種類の草しか食べない頑固な草食系、かな?

もっとも、養わなければならない家族ができれば、食べたくない草も食べるようになるかもしれないけれど・・・

単館上映というと「ブレス、レス」や「悲しき天使」を思い出します。良い映画だったのでもっとたくさんの人に観てもらえる機会があれば、と思ったものでした。

今日はある映画のロケがあり、登録しているロケーションサービスからエキストラ募集の案内が来ていました。撮影場所が同じ市内だったので、応募したのですが外れました。人気者の二人の映画だから応募が殺到したのかな? こちらの映画です。

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時代小説の楽しみ方

「大川わたり」の再読も終え、先日の大川散策のことを思い出しながら、小説の世界と現実の世界を比較しつつ、江戸情緒に浸っております。

昨今、時代小説がブームになっていますが、そもそも時代小説とはどんな小説なのでしょうか? 歴史小説は主として歴史に実在した人物を用い、ほぼ史実に即したストーリーが展開されるフィクションであるのに対し、時代小説は架空の人物を登場させるか、実在の人物を使っても史実と違った展開をするノンフィクション、という区分になるようです。

例えれば、司馬遼太郎さんは歴史小説家で、藤沢周平さんは時代小説家ということになりますが、司馬さんの「燃えよ剣」には結構架空の人物が登場していますし、歴史小説といえども作者がその時代のことを実際に見て書いているわけではないので、読み物として面白くなるようにフィクションの部分も混ざることになります。

「大川わたり」は天明8年(1788年)から翌年の寛政元年にかけての話で、主人公の銀次は27歳から28歳という年齢です。「居眠り磐音江戸双紙」の主人公・坂崎磐音が豊後・関前藩から江戸に出奔してきたのは明和9年(1772年)で、このときの磐音の年齢は27歳です。銀次と磐音は16歳違いになるので、磐音が27歳の時、銀次は11歳。両親と兄が借金のために売り飛ばされ、深川高橋の大工棟梁・初五郎親方のもとで小僧として働いていた頃でしょう。

磐音が住んでいたのは小名木川と堅川を結ぶ堀に近い南六間堀町の金兵衛長屋で、今の都営地下鉄・森下駅付近になります。銀次が奉公していた深川高橋も今の森下駅の近くですから、二人が住んでいたのは目と鼻の先。着流しの浪人・磐音と小僧の銀次は道ですれ違っていたかもしれませんね。どちらも造り話なのですが、いろいろと考えをめぐらせながら読むのは面白いものです。

銀次の母親は飯能(はんのう)の飯盛女に売り飛ばされた、と書かれていますが、西武沿線に住んでいる私にとって、飯能という地名は馴染み深いものです。なんで飯能くんだりにまで売り飛ばされたのだろうか、と考えました。

当時、飯能付近の山で伐り出される材木は西川材と呼ばれ、筏に組んだ材木は入間川から荒川を下って木場まで運ばれていたそうです。江戸ではたびたび大火がおきたので、江戸から一番近い産地の材木として西川材は重宝されたのでしょう。買い付けの業者が泊まる飯能の旅籠に飯盛女を置いたのは当然の話でしょうし、若くもない母親が売られていくのは江戸から少し離れたこんなところだったのでしょう・・・などと勝手に考えて楽しませていただきました。

西川材については昨秋の記事「子の権現・竹寺ハイキング」にも書きました。花粉症の人間にとってはやっかいな季節、あのあたりの杉の花粉も飛び始めていることでしょう。

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読書三昧の正月

体調がイマイチなので昨日は家から一歩も外に出ず、一日中本を読んでいました。

1冊目は吉田修一さんの「悪人」です。これは朝日新聞夕刊に連載されていたときに所々読んでいたのでが、読み忘れが続いているうちにストーリーが分からなくなってしまい、読むのを止めてしまった小説です。

・・・出会い系サイトで知り合った保険外交員・石橋佳乃を殺害してしまった土木作業員・清水祐一。当初警察がマークしたのは大学生・増尾圭吾だったが、徐々に追い詰められていく祐一は出会い系サイトで知り合った年上の女・馬込光代と逃亡する。そして・・・タイトルの「悪人」とは一体誰のことを指しているのでしょうか? 考えさせられました。

2冊目は藤沢周平さんの「用心棒日月抄」です。昨年読み始めて途中で止まっていたものを読み終えました。主人公の青江又八郎がカッコいい! BS2で再放送していた「腕におぼえあり」の原作です。現在再放送中(毎週火曜19時45分~)の「腕におぼえあり・2」の原作は「狐剣・用心棒日月抄」「刺客・用心棒日月抄」になります。ちなみに「腕におぼえあり・2」の脚本は「かりん」の松原敏春さんです。

母に借りた藤沢周平さんの「風の果て」をまだ読んでいないのですが、これよりも先に読みたいものがあって本屋に行って来ました。文庫本のコーナーで何か面白そうな本はないかなと見ていたら・・・「歓喜の歌」を見つけました。

これを読んでしまうと映画を観るときにつまらなくなってしまうので、買うのは止めました。でも、筒井さんの役がどんなものなのか知りたい・・・ちょっとだけ立ち読みいたしました。パラパラとページをめくっていると「リフォーム大田」の文字が目に飛び込んできました。筒井さんの役は「リフォーム大田に来た30男の客」で、やはり名無しさんでした。この30男の客が絡んだところは2ページぐらいでしたが、結構面白かったです。筒井さんにあった役だと思います。これ以上書くと「ネタバレの女王」などと言われてしまいそうなので、もっと知りたい方は本屋で買うか、立ち読みするなりしてください。

今日買ったのは宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」です。大河ドラマが始まる前にこれを読んでおかないと。

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時代小説ふたつ

今、読んでいる本は藤沢周平さんの「用心棒日月抄」です。読み始めた理由は、毎週火曜夜7時45分から再放送中の「腕におぼえあり」を観ているからです。「腕におぼえあり」の原作が「用心棒日月抄」なのです。

主人公の青江又八郎を演じているのは村上弘明さんです。同じく再放送中の「都の風」は21年前のドラマ、「腕におぼえあり」は15年前のドラマです。当時評判が良かったようで、続編・続々編と3作を立て続けに制作放映しています。

国許からの刺客に追われ用心棒稼業で糊口をしのぐ又八郎は、請け負う仕事で浅野・吉良両家の争いにも巻き込まれる・・・テンポの良い痛快なドラマに仕上がっています。

本放送時にも何回か観たことはあると思うのですが、ほとんど忘れていました。一番驚いたのは又八郎の許婚の弟役として香取慎吾さんが出演していたことです。15年前ですから当時15歳の慎吾さんです。今より少し細めですが顔の感じはほとんど変わっていません。近藤勇を名乗る前の島崎勝太という感じです。

大石蔵之助を演じているのは江守徹さんです。15年前の江守さんはかなり今と違います。顔が細めでイイ男です。

江守さんといえば、「おれきみ」で田端少尉のお父さんでしたが・・・来年秋に江守さん演出の舞台「大川わたり」に筒井さんが出演するようですね。待ちに待った筒井さんの新情報です。出演者は筒井さん、江守さんの他に風間杜夫さんもいらっしゃいます。

風間さんといえば1985年放送の「忠臣蔵」で浅野内匠頭を、翌年の「白虎隊」では松平容保を演じています。この2作とも観ました。母が里見浩太朗さんのファンだったので実家にビデオもあります。「銭形平次」など時代劇での風間さんは良く観ていました。好きな俳優さんの一人です。

ビミョーに繋がりのある3人が共演される舞台「大川わたり」が楽しみです。原作は山本一力さん。さそっく文庫本を買ってきました。筒井さんの役が気になるので、「用心棒日月抄」を読み終えていないけれど、先に読みます。

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読書の秋です

「新選組!」好きの私は幕末から明治維新あたりの時代に興味があります。幕府がひっくり返って何もかもが一変した激動の時代です。すんなりと時流に乗れる人は新しい時代の幕開けを楽しめたのでしょうが、なかなか波に乗ることができない不器用な人にとっては生きづらい時代だったことでしょう。これは急速に情報化が進んでいる現代にも言えることですが・・・

一月ほど前の新聞広告で、新潮文庫・新刊「銀座開化おもかげ草紙」を知りました。作者は直木賞作家・松井今朝子さんです。松井今朝子さんは筒井さんファンにとって、忘れたくても忘れられない名前かもしれません。ちょうど一年前の今頃、舞台「書く女」を観劇された感想をご自身のHPに書かれ、筒井桃水を辛口にお褒めになっていました。

あの記事を読んだときは正直言って良い気分はしませんでした。むしろ不愉快な気分になりました。なので、直木賞受賞を知ったときも、「へぇ~」と思っただけで、受賞作を読んでみたいなどとはこれっぽちも思わなかったのです。

しかし、「銀座開化おもかげ草紙」は私の好きな時代を書いた小説で、お手ごろな文庫本なので、敵地を偵察に行く気持ちで購入し読んでみました。

一気に読んでしまいました。面白い! 主人公の士族・久保田宗八郎とその隣人が登場する五編の話それぞれに人情が絡み、ほろりとさせられる場面があります。かつ細かく調べて書かれた当時の風俗などは、どれも興味深いものです。すっかり今朝子ワールドの虜になってしまいました。「銀座開化おもかげ草紙」の前作にあたる「幕末あどれさん」(PHP文庫)と「銀座開化・・・」の続編になる「果ての花火」も買って読みました。「果ての花火」は新潮社の新刊単行本です。普段は文庫になるまで買わない主義なのですが(高いし、重くて読みにくいし、場所をとる)、どうしても読みたかったので買ってしまいました。

今朝子ワールドにはまった、と言っても別に敵に寝返ったわけではありません。そもそも松井今朝子さんは敵でもなんでもなかったのです。今朝子さんの辛口は毎度のことのようです。なにしろあの蜷川幸雄さんが「とても口が悪くて、怖い人」とおっしゃているのですから・・・こちらでどうぞ。

「銀座開化おもかげ草紙」の主人公・宗八郎には、正式な夫婦ではないけれど長く一緒に暮らしている比呂という年上の女がいます。この比呂は江戸っ子らしい口の悪い女なのです。今朝子さんは京女のようですが、気性は比呂に似た江戸っ子風なのかな?

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「輪違屋糸里」を読みました

050_2 右は3月に京都・大阪旅行をしたときに訪ねた島原の輪違屋です。幕末、この輪違屋に糸里という芸妓が実在しました。その糸里を中心にして、新選組を今までとは違った視点から描いた作品が「輪違屋糸里」です。

文庫本には、今夏放映予定のドラマで糸里を演ずる上戸彩さんと歳三役の伊藤英明さんのツーショット写真の帯が付いていました。読む前は糸里と歳三の恋話が中心の小説なのかなと思っていたのですが、そうではありませんでした。

話の中心人物はどちらかというと芹澤鴨です。この小説の芹澤は今までの芹澤とは一味違う男です。「新選組!」で三谷さんが書いて、浩市さんが演じた芹澤も、ただの暴れ者ではない人間的な一面を見せてくれましたが、「輪違屋」の芹澤はそれ以上に「酔っていなければいい人」なのです。

芹澤よりも試衛館メンバーがものすごく嫌な奴らです。特に歳三が・・・あまり夢を壊したくないのですが、こちらのほうが真実の新選組に近いのかもしれません。私が好きな司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」や三谷さんの「新選組!」では、歳三も勇も総司もカッコいい! けれど、視点をかえて見れば彼らはおぞましい人斬集団にすぎない・・・そこにあるのは人を人とも思わない、女を女とも思わない非情な姿だけ・・・

この小説は輪違屋糸里だけでなく、桔梗屋の芸妓・吉栄、鴨の愛人・お梅、八木家のおまさ、前川家のお勝という女の視点から新選組を捉えています。おまさやお勝が、まるで相撲部屋の女将のように隊士たちの世話をしているのが、「新選組!」とは違って不思議な感じがしました。男所帯なのですからこれが自然なのかもしれません。

容保公は「新選組!」のイメージ、筒井さんの演じた容保公と同じでした。筒井さんの容保公は某掲示板で「棒」などと揶揄されていましたが、お殿様というものは喜怒哀楽を顔に出さないものなので、あれが正しい姿なのです。「輪違屋」の中でもそのように書かれています。

「輪違屋」がドラマ化されると聞いたとき、歳三を耕史さん以外の人が演じることに違和感を持ったのですが、この歳三だったら耕史さんに演じて欲しくないと思うようになりました。

このドラマで芹澤鴨を演じるのは中村獅童さんです。なんで捨助が鴨を、と最初は思いましたが、映画「ピンポン」でドラゴンを演じた獅童さんの姿を思い出して納得いたしました。

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「魂萌え!」を読みました

桐野夏生さんの「魂萌え!」を読みました。先日NHK土曜ドラマで観たばかりなのですが、原作はドラマ以上に引き込まれました。ドラマは布団に入って観ていたので半分ぐらい寝ていましたが(?)、小説は一気に読み終えました。

小心者で被害妄想気味の私は子どもたちの進路で悩んでいる今の自分が、人生の中で最も大変な状況に置かれていると思っていたのですが、この小説を読んで子どもたちが巣立った後の方が今以上に大変なのではないかと感じました。

平凡な日常に何の疑問も抱いていなかった敏子は夫・隆之の死によって生活が激変します。子どもが自立した後は、悠々自適の毎日があるように思っていた私にとってこれは衝撃でした。しかも、夫に自分よりも年上の愛人がいたなんて・・・相手が若いねえちゃんならばまだ許せます。

私の両親と姑は健在なので、今は子どもたちのことだけを心配していればよい状況です。(舅はすでに他界しています) しかし、親の介護や死は避けては通れない問題でしょう。また、子どもたちが結婚すれば、赤の他人だった人たちとの新たな人間関係が生まれます。そうなれば多かれ少なかれ摩擦が生じることでしょう。年を重ねるうちに自分たちの健康問題が浮上してくることも必至です。

今はまだ人生の登り坂を歩んでいる時期です。大変なことも多いけれど、毎日を大切にして精一杯生きていかなければいけない、さもないと罰が当たると思いました。それから、会社で働いて稼いで来てくれる旦那にもう少し感謝の気持ちをも持たなければいけないかもしれませんね。年上の愛人を作られないように・・・

来月公開される映画「魂萌え!」も気になります。

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